「建築・設備の省エネルギー技術指針」が1994 年に本学会より刊行されて以来15年が経過した。この間に、エアコン等のトップランナー機器や高効率冷凍機などの技術の長足の進歩、あるいは、マルチ型空調システムの普及などがあった。一方でOA化による内部発熱の増加やガラス建築の出現は、それまでの熱負荷やエネルギー消費形態を大きく変えた。京都規定書の約束期間に既に突入し、温室効果ガス削減の目標達成は極めて難しい状況であるが、手を拱いている訳にはいかない。これからの建築および設備は、@設計条件を精査し、A期間性能設計の考え方を取り入れ、B運転調整とモニタリングにより、C良好な室内環境を維持しつつ、Dエネルギー浪費を抑えることが求められる。これゆえに、E性能検証(コミッショニング)がより重要な役割を担うことになる。
以上を背景に本年3月に新しい指針が発刊された。「住宅編」と「非住宅編」があるが、本講演会で取り上げる「非住宅編」は次の章からなる。即ち、第1章省エネルギー計画、第2章環境および設計条件、第3章省エネルギーから見た建築計画、第4章省エネルギーから見た設備計画、第5章 BEMS の設計と運転管理である。
講演会は指針をベースに、第1章〜3章、第4章、第5章の3部構成とする。なお、第4章については、本学会員を対象とすることから、二次側空調、搬送、熱源・エネルギーシステム、給排水・給湯に絞った。省エネルギーが叫ばれて久しいが、その割に思うように進展しないのは何故か、基本に立ち返って考えたい。最後の総合討論には十分な時間を取ってあるので、参加者との活発な議論を期待したい。 |