2021年度 中部支部振興賞技術振興賞
 
日   時: 2022年9月13日(火)14時00分〜16時00分
会   場: ウインクあいち1203会議室
参 加 者: 31名

 今回の講演では、2021年度の中部支部振興賞技術振興賞を受賞された以下の2作品ついてご講演頂きました。

 
「ゼロ・エネルギー・スクール瑞浪北中学校」

講師:佐藤 孝広 氏((株)日建設計)

 “自然共生によるZEBの実現”、“健康・快適な学習環境の創出”、“生徒の環境体験と持続的な環境教育の実践”を目的として計画された施設である。計画初期段階における気候風土調査に基づき、卓越風利用を促進する棟配置計画、自然通風、自然採光、ライトシェルフ、クールヒートトレンチ、太陽集熱壁などパッシブ技術を中心に建築と設備が一体となった計画となっている。クールヒートトレンチと太陽集熱壁を利用した“クールウォームロッカー”による教室の換気システムは環境と快適性両面に配慮された面白い試みであり、他事例への適用も可能である。また、生徒・教員自らがこれらの環境技術を体感し、自分たちでチューニングをしていくべく作成された運用マニュアルや設計者自身が行った“出前事業”は、ZEBを継続させていくための好事例と言える。運用時のエネルギー実績としても、Net-ZEBを達成しており、今後の学校施設ZEB化のロールモデルとなり得ると考えられる。

 
「愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)の光・風・水・熱源の最適運用によるZEB化」
講師:石橋 良太郎 氏((株)竹中工務店)

 CASBEE-Sランク、ZEB Ready(計画時)を取得し、世界に発信できる空港直結型の環境配慮型展示場として計画された施設である。自然エネルギー利用としてのメガソーラー太陽光パネルの設置に加え、自然採光、自然換気、外気冷房等を積極的に取り入れた計画で大幅な省エネを実現している。展示ホールの形態に合わせて大型シーリングファンと旋回流ファンを利用し、PMV制御を組み込んだ空調システムは省エネと快適性の両立を図った計画となっている。その他、様々なイベント形態に応じて3段階モードで使用可能な低層連結型蓄熱槽やAIによるリアルタイム熱源最適化システムの導入など、運用に配慮したきめ細かな計画となっており、実績値としてNeary ZEBを実現しているほか、立地特性への対応として津波・水害に備えたBCPにも配慮されている。

 
文責:大野(智)