報告:「空気調和・衛生工学会 中部支部 第55期支部報告会」
 
「空気調和・衛生工学会 第55期中部支部報告会」が5月20日(金)にオンラインで開催されましたので、ここに報告致します。

日 時: 2022年 5月20日(金) 14時00分〜16時00分
場 所: オンライン(Zoom)

次 第
 1. 支部報告会
(1) 代表理事挨拶 副会長 山本 雅洋
(2) 支部長挨拶 支部長 田上 賢一
(3) 事業報告と事業計画
 ・2021年度決算及び2022年度予算
 ・2021年度事業結果及び2022年度事業計画
(4) 第36回 振興賞技術振興賞表彰式
 2. 記念講演会
演 題: カーボンニュートラルを指向した建築・地域のエネルギーマネジメント
講 師: 奥宮 正哉 先生 (名古屋大学名誉教授・名古屋産業科学研究所 上席研究員)
交流会の開催はありませんでした
 
1.支部報告会 14:00〜14:30 参加者:39名
 学会本部より山本 雅洋 副会長にオンラインにてご登壇いただき、第55期支部報告会が会員39 名のオンライン参加の中開催されました。
 続いて第36回振興賞技術振興賞表彰式では『ゼロ・エネルギースクール 瑞浪北中学校』と『愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)の光・風・水・熱源の最適運用によるZEB化』の2業績が表彰されました。
 『ゼロ・エネルギースクール 瑞浪北中学校』 では、学校施設のゼロエネルギー化や環境教育の推進に取り組むことで、次世代の学校施設や環境教育の在り方について情報発信することを目指した岐阜県瑞浪市にある建物(延べ面積8,090u、地上2階)において、
  • 竣工1年目でZEBを実現し、CASBEEのSランクを取得している事。
  • 脱炭素の基盤となる重点対策の創意工夫事例を示しており、今後のロールモデルとして期待できる事。
  • 環境性能のみならず、快適な学習環境の実現とともにPOEの活用など、環境教育の実践にも真摯に取り組んでおり、持続的な環境教育に大きく寄与している事。
が、評価されました。当日は株式会社日建設計 エンジニアリング部門 設備設計グループ 佐藤孝広 様にご登壇いただき、表彰状の授与、代表のご挨拶をいただきました。

 『愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)の光・風・水・熱源の最適運用によるZEB化』では、MICE(マイス)産業の成長が望まれている現在、中部国際空港に隣接した展示場施設(延べ面積89,693u、地上2階)において、
  • 展示場という建築形態・特性を活かした自然エネルギーの利用によりエネルギー消費量、CO2排出量を削減している事。
  • 展示ホールの快適性と省エネルギー性能を向上させた空気調和方式、AIを用いた熱源機器の最適な運転をリアルタイムに予測するシステムによる運用は今後の発展が期待できる事。
  • ZEB Ready(計画)、Nearly ZEB(実績)の達成、CASBEESランクを取得していることおよび、BCP対策として空気調和および給排水システムを構築している事。
が、評価されました。当日は株式会社 竹中工務店名古屋支店設計部設備2グループ
石橋 良太郎 様にご登壇いただき、表彰状の授与、代表のご挨拶をいただきました。



『ゼロ・エネルギースクール 瑞浪北中学校』受賞者
株式会社 日建設計 様
瑞浪市 様
株式会社 日建設計総合研究所 様
新菱冷熱工業 株式会社 様
尹 奎英(ユン ギュウヨン) 様

『愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)の光・風・水・熱源の最適運用によるZEB化』受賞者
株式会社 竹中工務店 名古屋支店 様
新日本空調 株式会社 様
アズビル 株式会社 様
株式会社 三晃空調 様
田中 英紀 様
大岡 龍三 様
池田 伸太郎 様
 
2.記念講演会 15:00〜16:00 参加者:174名
 名古屋大学名誉教授・名古屋産業科学研究所 上席研究員の奥宮正哉先生を講師として、『カーボンニュートラルを指向した建築・地域のエネルギーマネジメント』と題して記念講演がオンラインで行われました。
 パリ協定、IPCCレポート、感染症と温暖化との関連など、世界的なカーボンニュートラルに向けての視点から、日本国内におけるグリーン成長戦略をご説明いただいた上で、カーボンニュートラルに向けた国内の動き、さらにはカーボンニュートラルを指向した建築と地域の設備の日々の進化についてご講演をいただきました。
 ZEBによるエネルギー効率の高い建物を所有する上で、エネルギー料金と建物の運用にかかるコスト以外にも、エネルギーに依存しない“コベネフィット”が重要であり、それをステークホルダーごとに整理、定量化する手法を開発すべきであるとのことです。
 また、建築設備の省エネ・省CO2ポテンシャルの確保という観点では、過剰な設計条件を避け、適正な容量、適正な制御値、適正な評価指標を持つことが重要であり、そのためにはシミュレーションとコミッショニングによる検証が大切であることを名古屋大学でのコミッショニング実施例を基にご説明いただきました。
 最後に、地域エネルギーシステムのなかでも再生可能エネルギー・未利用エネルギーの活用、排熱蓄熱再利用、蓄電を組み合わせることで、第5世代の地域冷暖房の姿、2050年カーボンニュートラル実現に貢献するDHC(District Heating and Cooling)/DTS(District Total Service)のイメージ像を共有いただきました。
 奥宮名誉教授におかれましては、ご多用の折、またオンラインにて勝手が違う中、大変貴重なご講演いただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 
文責:総務幹事 大場章晴