◆講演会
 
2020 年度学会賞技術賞
 
日  時: 2022年2月16日(水) 14時00分〜16時30分
会  場: Zoom による Web 配信
参 加 者 : 29名
 
今回の講演では、第 59 回学会賞技術賞を受賞された以下の 2 作品ついてご講演頂きました。
 
「ダイヤゲート池袋における環境・設備計画と実施」

講師:塚見 史郎 氏(日建設計)

 この建物は、乗降客数が多い都心ターミナル駅に近接した鉄道会社旧本社ビルと線路上空を建設用地とした、鉄道上部を跨ぐ歩行者デッキとその上部の超高層テナントオフィスビルである。そのため、災害時の事業継続性や帰宅困難者の受入れ等が要求され、平時の省エネルギー性に加えて、災害時のレジリエンス性も求められる。その解決手法として、排気利用型ウォールスルーユニット(WTU)の開発と建築計画の組み合わせにより、平常時・災害時の利便性を向上させ、省エネ性・レジリエンス性の向上も実現している。また、給水使用量を抑えた計画や BIMを活用したライフサイクルデザインへの取り組み、更に CASBEEウェルネスオフィスで S ランク認証を取得するなど快適性の向上にも取り組んでいる。本業績で開発した排気利用型 WTU は室外熱交換器に室温空気を通すことによりエネルギー消費効率向上を実現し、また災害時には1台ずつの「空調運転」や、「災害時給気モード」にも対応し、更にコロナ禍での換気風量の増強にも柔軟に対応することが可能である。

 
「東急コミュニティー技術研修センターNOTIAの環境設備計画
   〜次世代研修施設「気づきの場」の創造〜」

講師:中本 俊一 氏(清水建設)

 建物管理企業の技術者研修施設として、建物・設備に実際に触れながら学ぶ「環境と共生する気づきのデザイン」というコンセプトのもとに建設された建物である。今回開発した無柱 RC ワッフル構造躯体を蓄熱体として利用した放射空調と床吹出し空調を併用した空調システムを採用すると共に、建物運用時の消費エネルギーを低減させるために地中熱利用や卓越風を取り込む自然換気・外気冷房、太陽光発電を採用し、都市部における中層建築での ZEB(NearlyZEB)を実現している。本建物に導入した躯体蓄熱は躯体表面に配管を直接貼り付けることにより躯体を変更することなく熱を取り出しやすい蓄熱システムとしてユニークな技術であり、躯体蓄熱を利用した空調システムの新たな考え方の一つといえる。

 
文責:大森