◆最適化研究会講演会(名古屋)
 
「令和3年度 最適化研究会講演会」
 
日 時: 2021年12月9日(木)
場 所: ZoomによるWeb開催
参加者: 28名(講師2名含)

 今年度の講演会は、最適化研究会定例会のテーマの中から関心の高かった空調技術と、高齢者施設の実態についてご講演頂きました。

 
「全外気空調向け直膨システムの開発 〜シームレス直膨空調機〜」

村上 裕紀 氏 (大気社)

 年間を通じて冷暖房の連続運転が可能なシームレス直膨空調機についてご講演いただきました。この空調システムは、低負荷の冷房運転時に外部蒸発器に冷媒を回すことで、冷却負荷を維持し圧縮機の停止を抑制させ連続運転を可能にしました。また、再熱冷却時や暖房時に極力電気ヒーターを使用せずホットガスコイルを利用することで省エネ性を向上させました。室内の排熱空気を利用できる場所に外部蒸発器を設置することで、デフロスト運転の抑制も可能となります。
 名称は、冷媒回路に四方弁を使用せず連続的に冷暖房の切り替えを可能としたことから「シームレス」と命名しました。年間を通じて全外気空調運転が求められる動物飼育室等を対象に、本空調システムを普及させたいとのことです。

 
「温熱・におい環境の相互環境から見た高齢者施設について」
横江 彩 准教授(中部大学)

 高齢者施設の温熱環境やにおいの実態調査と高齢者の熱中症予防についてご講演いただきました。小規模特別養護老人ホーム(施設A)と介護老人保健施設(施設B)で、温湿度やCO2濃度、臭気の実測調査を行いました。施設Aの温冷感は、高齢者にとって暑い寄りの中立、介護者にとっては暑い側となりました。また、施設Bでは、高齢者にとって寒い側となり介護者にとっては暑い寄りの中立となりました。におい質の評価では、どちらの施設も汗のにおいが高い傾向となり、施設Aでは建材のにおいも高い傾向でした。臭気発生量から換気回数を試算した結果、施設Aは現状2.6回/hの6.3倍の換気量が必要となり、施設Bは現状の1.9回/hで必要換気量を満たす結果となりました。
 高齢者の熱中症予防は、暑熱順化に関する実験室実験を行いました。盛夏期前の発汗量に対し、筋肉量が多い被検者の盛夏期後の発汗量が増える結果となり、暑熱順化しやすい傾向でした。熱中症対策として、筋肉量を増やすことで、発汗作用を高め暑熱順化を促進させることが有効ではないかとのことでした。

文責:成瀬