◆見学会(名古屋)
 
「みなとアクルス 施設見学」
 
主   催: (公社)空気調和・衛生工学会 中部支部
日   時: 平成29年8月3日(木) 15:00〜16:00
見学場所: みなとアクルス エネルギーセンター (名古屋市港区港明二丁目他)
参 加 者 : 20名

 みなとアクルスは、名古屋市港区の東邦ガス旧港明工場跡地をはじめとした約33ha、ナゴヤドーム6個分の土地に、「人と環境と地域のつながりを育むまち」を開発コンセプトとし、まちづくりが進められているものです。見学会では、みなとアクルスの開発概要について説明を受けた後、平成29年4月より本格運転を開始した、みなとアクルスのエネルギー供給を担うエネルギーセンターを見学しました。

 
1)みなとアクルスの概要
 みなとアクルスは、平成27年5月に名古屋市から開発許可を受け、基盤整備工事に取りかかり、段階的に開発が進められています。開発エリアには、東海3県で初進出となる商業施設「ららぽーと」や、集合住宅、水素・天然ガス・LPガスを併設したエコステーション、スポーツ施設、ゴルフ練習場、ベーカリー&喫茶などが計画または運用されています。現在は、エネルギーセンターからスポーツ施設等の一部施設に電気・熱が供給されており、今後の第1期開発の各施設に電気・熱の供給が予定されています。
 
2)エネルギーシステムの概要
 みなとアクルスでは、環境と省エネルギーへの取り組みによる、先進的で地域防災に資する災害に強いまちづくりをめざしており、エネルギーセンターに構築されるシステムがその中心となっております。総合エネルギー効率の高いガスコージェネを中心に、木質バイオマス電力の調達、大型蓄電池(NAS電池)、太陽光発電、運河水熱利用などを組み合わせ、電気・熱・情報のネットワークを備えたCEMS(コミュニティ・エネルギー・マネジメント・システム)を導入し、統合制御されています。こうしたシステム構築により、1990年比で40%の省エネと60%のCO2削減の達成を見込んでいます。
 
3)地域防災の推進に向けた取り組み
 開発エリア内では、大規模地震および津波浸水想定に備え、各施設の耐震設計、重要施設エリアの地盤改良、用地の嵩上げ等に取り組むとともに、ガスコージェネ・太陽光発電・大型蓄電池(NAS電池)などの活用、災害に強い中圧導管によるガス供給等により、エリア内で必要なエネルギー供給を継続できるよう計画されております。
 また、地域一帯の取り組みとして、ららぽーとに併設される立体駐車場およびエネルギーセンターを、約9,000人の収容が可能な津波避難ビルとして整備するとともに、避難者への物資提供が計画されており、隣接する港区役所への非常用電源の供給等に関する協定が既に締結されています。
 
 上記概要の説明の後、エネルギーセンター建屋内に移動し、みなとアクルスのエネルギーシステムを構成するガスコージェネレーションシステム、ジェネリンク(排熱回収型ガス焚冷温水発生器)、蒸気吸収式冷凍機、NAS電池、運河水利用ヒートポンプ、バイナリ―発電機、特別高圧受変電設備など、各設備の容量や系統、運用方法について、説明を受けながら実機見学をしました。見学後の質疑応答では、エネルギーシステムの運転予測方法や、災害時の対応方法、エネルギーセンターの運転体制についての質問に対して回答があり、理解を深めていただきました。
 
みなとアクルス施設見学
 
文責:杉山