◆講演会(名古屋)
 
〜第54回空気調和・衛生工学会技術賞受賞作品の紹介〜
 
日 時: 平成29年3月10日(金) 14時00分〜17時20分
場 所: 東桜会館 第2会議室
参加者: 40名

 今回の講演会では、第54回空気調和・衛生工学会の技術賞を受賞された4作品について、ご講演をいただきました。それぞれに大きな目標とこだわり抜いた技術の蓄積があり、非常に興味深い内容でした。

 
「東京スクエアガーデン」の講演概要
 小坂 千里氏(清水建設)

 事業者・建物管理者・建設者に加えて入居者も低炭素化促進に参画した建物である。建築形状による自然換気システム、地中熱利用の導入や環境技術の展示・エコマルチ塾の開催により地域と連携した低炭素化街区を構築している。オフィスの空調は一般・外気冷房・ナイトパージ・自然換気の4つのモードで制御している。入居者が温度・照度・自然換気等の設定を自ら行うことで省エネが実感できる親しみ易く操作性の良いシステムを提供している。

 
「グランフロント大阪」の講演概要
 田中 宏昌氏(日建設計)

 “風を感じるまちデザイン”、“水と緑を感じるまちデザイン”、“まち丸ごと見える化”の3つのテーマを基に複数街区を一体的に計画した。自然換気の導入において、建物の配置や計画上の制約を考慮して「風力換気」と「重力換気」をうまく使い分けている。ヒートアイランド対策として水と緑を導入すると同時に、訪れる人を楽しませる空間創りに工夫を凝らしている。利用者の省エネ活動を促進するために様々な利用者に合わせてカスタマイズした情報を提供している。

 
「NTTファシリティーズ新大橋ビル」の講演概要
 渡邊 剛氏(NTTファシリティーズ)

 ICTを上手に取り扱うことにより快適性と省エネルギーの両立を目指したデータセンターを持つオフィスビルで、オフィス部分とデータセンター部分の空間の要求性能の違いに着目した計画としている。シンクライアントシステムの導入によりサーバー類をデータセンターへ集約、間接外気冷房型パッケージ空調機のデータセンターでの採用、スマートフォンなどを利用した在館者位置情報の有効活用など、小規模ながら様々な取り組みを行っている。

 
「赤坂Kタワー」の講演概要
 弘本 真一氏(鹿島建設)

 汎用的かつ普遍的な省エネ技術を高度な次元までつきつめた賃貸ビルである。空調システムとしては一般的な単一ダクトVAVシステムを採用する一方で、小負荷時アイドリングストップ制御や熱源システムにおける蓄熱槽の最適台数制御を採用するなど、搬送動力の低減にこだわった計画となっている。また、ペリメータに採用したビル用マルチについても負荷状況に応じた冷媒蒸発(凝縮)温度の可変制御を行いCOPの改善を行っている。

 
(文責:河合)