◆平成28年度 最適化研究会シンポジウム(名古屋)
 
「環境制御の新技術」
 
場 所: 東桜会館 第二会議室
日 時: 平成29年2月23日(木)
参加者: 30名(講師3名含)

 今年度のシンポジウムは、人や植物に快適な環境を提供するとともに省エネルギーを目指す新技術についてご講演頂きました。

 
「植物工場における空気環境制御と高付加価値物質生産」
丸山 真一 氏 (朝日工業社)

 植物工場における空気環境制御と完全制御型遺伝子組換えイネ植物工場の開発事例についてご講演頂きました。温湿度、風速、CO2濃度、光などによる植物生育効果の把握や、熱流体解析による空調システム設計技術を活用し、植物に適した生育環境を作ります。また、これらの技術をベースに付加価値の高い遺伝子組換えイネの収穫量倍増や、生育期間の短縮が可能な生産システムを開発しました。植物工場はコストやエネルギーがかかることから、目的に見合った環境制御が重要です。

 
「省エネルギーで快適な空調制御「アクティブスウィング®」」
高木 正尚 氏 (新日本空調)

 室内温度を周期的に変化させるアクティブスウィング制御の概要と、実証試験等における省エネ性、温熱快適性についてご講演頂きました。本システムは温度変化に対して人の温冷感がオーバーシュートする特性を利用し、スウィングの平均温度を通常の室温一定制御より高くしても快適性を維持しつつエネルギー消費量を抑えられるものです。実証試験では室温一定制御に対して約7%の電力量削減効果と、同程度の快適性・作業効率性の評価が得られました。今後は温度変動の速度が快適性に及ぼす影響を考慮した制御方法について検討されるとのことです。

 
「屋外からの入室時とその後の快適性評価」
齊藤 輝幸 准教授 (名古屋大学)

 夏期の屋外から執務空間へ入室する状況下で、採涼空間の利用による温冷感改善効果についてご講演頂きました。7〜9月に被験者実験を行い、屋外滞在条件(日向・日陰)、採涼空間利用の有無、採涼空間の滞在条件などによる申告値の差について分析しました。その結果、採涼が必要な人と不要な人がいること、不要な人が採涼すると執務空間に対する不満度が上がることがわかりました。採涼空間の適切な利用条件(環境と滞在時間)、利用者の想定による場所や面積の算出方法など設計指針の提案や、負荷や屋外滞在条件による利用条件について検討されています。