第13回建築設備研究会
見学会『岐阜県北方町役場 新庁舎』
 
主  催: 空気調和・衛生工学会中部支部 建築設備研究会  
日  時: 平成28年6月17日(金) 15:10〜16:40
見学場所: 北方町新庁舎 (岐阜県本巣郡北方町北方字長谷川1857番地16)
参 加 者: 21名

 岐阜県北方町新庁舎は、1) 町民サービス、事務効率の向上及び住民参画を目指した機能的な庁舎、2) 環境との共生、周辺との調和ある庁舎、3) 災害に対し安心・安全な庁舎」を基本理念に計画された、平成28年4月に竣工したばかりの3階建て環境建築(延べ面積5,213u)です。
 本庁舎の建物プランは、建物の大きな特徴である大屋根構造の利点を、町民サービスならびに室内環境の質向上や省エネルギー対策にも十二分に生かそうとする創意工夫が強く表れたものとなっており、建築設備的には自然光や通風の活用促進による照明消灯や空調運転の短縮や大空間の居住域空調による執務空間の快適性向上などの工夫が盛り込まれています。また、大屋根の地上階の軒下は通常時は屋根付き駐車場として、災害時には災害対策本部としての機能支援をするエリアの一部として活用する他、ガス・電気のベストミックスを考慮した空調計画、太陽光発電20kW,蓄電池15kWを設置するなどの事業継続計画(BCP)についても考慮されています。
 見学会では、建築設計を担当したシーラカンス&アソシエイツ(CAn)の宇野氏、岩室氏に意匠・構造・設備計画の概要をご説明頂いたあと、建物内外の見学をしました。建築計画では、建物内外で“人の気配”を感じる建物づくりが重視され、屋外と執務空間さらには用途の異なった連続する室内空間の“見通し”に配慮されており、この一環として通風・採光計画が3次元的に考えられている点は、非常に見応えのあるものでした。
 質疑応答では、大屋根南面に採用された外壁集熱の暖房利用に期待される効果や、中間期の通風換気性能予測に関するCFD解析の建築計画への反映方法に関する質問、北方町役場の方に対する自然通風換気の実際の運用状況についての質問などがあり、丁寧にご回答頂きました。
 開庁後間もない建物ということもあり、上記のような環境配慮に対する取り組みの実性能については検証段階にあるため、今後の支部研究発表会等にて、建物性能の検証結果を是非ともご報告頂きたいと感じました。

文責:田中