◆最適化研究会シンポジウム(名古屋)
 
「建築設備におけるデータ活用の最新技術」
 
場 所: 東桜会館 第2会議室
日 時: 平成27年2月3日(火) 13:30 〜 16:45
参加者: 30名(講師3名含)

 今年度のシンポジウムは、話題のBIM(Building Information Modeling)、DR(Demand Response)、スマートコミュニティに関連して、どのようなデータがどのように活用されているのか、試算や実導入時の評価も踏まえ、効果だけでなく今後の課題を含めた内容についてご講演頂きました。研究会員以外の参加者も多く、討論では会場の方からの質疑も多く、有意義な会となりました。
 お忙しい中、ご参加頂きありがとうございました。

 
「コミッショニングのための設備システムのデータモデルに関する研究」
山羽 基 教授 (中部大学)

 BIMを活用したコミッショニングの適用性評価を目的とし、建築CADであるArchiCADと設備CADであるTfasを使用して性能検証を行った内容について、ご発表頂きました。性能検証に必要な情報をピックアップし、ソフト間で情報共有できるデータモデルの構造を提案され、空調機の性能評価では、ATFなどの指標を算出し、効果を確認可能となっています。今後、BIM入力や管理を設計者や施工者の誰が行うかが実用上の課題となっているとのことです。

 
「電力需給逼迫時のデマンドレスポンスに関する実証実験の結果について」
山田 琢寛 氏 (中部電力)

 電力需給逼迫時の対応を目的とし、DR実施による電力の使用状況の変化などを評価した結果についてご発表頂きました。豊田市の160軒を対象としたDRの実証試験では、太陽光発電設備を設置している住宅では効果はほとんど得られませんでしたが、非設置の住宅ではピーク需要時に約1割の節電効果が得られたとのことです。参加モニターからのDRに対するメリット・デメリットなどの率直な意見や、一般のアンケート結果も考慮し、より効果的なDRの適用方法について検討していきたいとのことです。 

 
「スマートコミュニティにおけるエネルギーマネージメント技術」
渡辺 剛 氏 (NTTファシリティーズ)

 変動する太陽光や風力発電等の安定供給と、一般家庭やビルの需給環境の最適運用を行うことを目的とした、情報通信技術の活用方法について概要をご説明頂きました。その1つであるDLC(直接負荷制御:Direct Load Control)について実施レベルを緊急性や室内への影響を考慮して3段階設定し、自社フロアにおける実験を行ったところ、電力消費量の削減目標に対する効果が夏期は約50%、中間期では200%を超える日もあったとのことです。今後は行動や負荷の予測などを取り入れた需給管理制御などの開発が求められるとのことです。

(文責:北野)