◆講演会(名古屋)
 
ZEB 〜国内外の最新動向と事例・研究紹介〜
 
日   時: 平成26年11月6日(木)
13時30分〜17時00分
場   所: 東桜会館
参加人数: 35名

今回はZEBを主テーマとして、株式会社日建設計総合研究所 丹羽英治様から『国内外の最新動向』について、清水建設株式会社 今井田尚文様から『生長の家 〜森の中のオフィス〜』について、高砂熱学工業株式会社 加藤敦史様から『建築設備用水素蓄電システムの開発』についてそれぞれご講演を頂きました。

 
【丹羽様の講演概要】

今回講演の主テーマである「ZEB」についての欧・米、アジア、日本における最新動向、丹羽様が主査を務められている「空気調和設備委員会/ZEB定義検討小委員会」における活動内容をはじめ、エネルギー自立型建築のデザインメソッド、各種ケーススタディなどについてご紹介がありました。
CO2排出量や一次換算エネルギー量などの具体的数値に基づく近年のエネルギー自立型建築のZEB達成レベルの分析や、エネルギーの“消費側”と“供給側”2つの側面からのZEB達成へのアプローチの考え方など、分かり易い図表を用いてご説明をいただきました。2015年に開催されるCOP21を控え、環境に携わる技術者にとって改めて今後の重責を実感させられる内容でした。

 
【今井田様の講演概要】

発注者の基本構想として掲げられた3つのテーマである @自然との共生と省エネルギー A創エネルギーによるエネルギー自給とZEBの実現 B環境保全と地域貢献 を主題として、設計段階での取組概要と運用後のデータ収集によるZEB達成の実績及び今後の課題についてご紹介がありました。
自然通風、自然採光、太陽光発電、太陽光集熱などの自然エネルギー利用に加え、カーボンニュートラル資源としての木質ペレット・木質チップを利用したボイラー・コジェネ、マイクログリッドによる最適エネルギー制御など様々な角度からの最新技術の造り込みもさることながら、「現代人が現代の生活を営みながら自然環境と調和した生活をおくるモデル社会の構築」という基本コンセプトは、改めて考えさせられるキーワードでした。

 
【加藤様の講演概要】

昨今、将来のクリーンエネルギーとして注目を集めている「水素」について、経済産業省の「水素・燃料電池ロードマップ」を含めた国内外の最新動向・開発状況と自社/技術研究所における具体的な開発内容についてご紹介がありました。
他のエネルギーとの比較による「水素」の特徴や優位性をはじめ、製造〜輸送〜貯蔵に関する各種技術など多くの興味深い内容についてご説明いただきました。東日本大震災以降、原子力に代わる環境負荷の少ないエネルギーに対する期待が膨らむ中、「水素」エネルギー技術についての大きな可能性を再認識させられるご講演でした。
(文責:大野智之)