建築設備研修部会 講演会 (平成17年度第3回)
実施日時: 平成18年1月17日(火)
場   所: 今池ガスビル
参加人数: 39名

今回の講演は、東北工業大学 渡辺浩文先生による「都市内気候特性の把握に基づくこれからの都市・建築環境計画−仙台のクリマアトラスとその応用可能性−」、名古屋大学 有賀隆先生による「現代都市の土地利用環境コントロールとまちづくりの視座」についての講演が行われました。
【渡辺浩文先生の講演概要】
都市の温暖化は年々進んでおり、地球の温暖化は100年で約0.6℃と言われているのに対し、仙台の場合100年で約3℃にも及ぶ。このような都市のヒートアイランド現象は熱大気汚染とも言われ深刻な問題となっている。そこで、多点同時気温測定により仙台のヒートアイランドの現状を明らかにするとともに土地被覆・海風の各要因の気温に及ぼす影響を分析した。海風によって仙台中心都市部の高温空気が郊外に移動する結果、最高気温は郊外で記録される場合があることが判明した。この結果を踏まえ、気候風土に配慮した都市の環境計画の必要性を指摘し、都市環境気候図(都市環境クリマアトラス)の考えを紹介した。その他、ドイツ・シュツットガルト市での環境汚染への取組みについての事例を紹介して頂いた。
【有賀隆先生の講演概要】
「人と自然の生命輝く東山の森づくり−森づくりから共生型社会の実現をめざす−」を基本理念に行われている「なごや東山の森づくり」事業では、身近なところから環境問題を意識し、市民が先導して都市(まち)づくりを行おうとしている。この中で行われている東山の森づくりの仕組みやプロセスなどを紹介して頂いた。その他、海外事例を交えて東山動植物園の再生イメージをご紹介頂いた。
  また都市の美しさに関してのご紹介があり、わが国での建築物高さ規制がもたらす都市スカイラインの平坦化が美しさを損ねている可能性があること、それについては米国では高度の高い土地には高い建物に、低い土地には低い建物に誘導を行うケースがあるとご照会頂き、大変興味深い内容であった。

建築関係の方を中心に多数の学生の参加者も頂き、活発な質問が飛び交い大変盛況のうちに無事閉会致しました。